2001年10月12日
豊田市長
鈴木 公平 殿
サッカー場問題を忘れない!とよた市民の会
代 表  岡田耕一

10.24豊田スタジアム・オープン記念事業に関する要望書

 物議をかもした豊田スタジアムも本年7月にオープンし、現在は数々の記念イベントが開催されているところであります。当会はスタジアム完成後も、建設費増額問題をはじめとするさまざまな問題に対し市民の立場から監視を続けてきました。また当会の前身である「巨大サッカー場問題を考える会」も、スタジアムの必要性に疑義を唱え建設反対運動を展開してきたことはご承知のことと思います。

 ところで、そのスタジアムのオープン記念事業として、今月24日に豊田加茂広域市町村圏の小中学生・教員4万5千名余をスタジアムに集め、サッカーの紅白試合の観戦・全員での合唱などを内容とするイベントが計画されています。小中学生を対象としたかつてない規模のものですが、明確で説得力のある「行事目的」が打ち出されないまま、実施されようとしているのが現状です。

 私たちはこれまで、スタジアムの施設としての位置付けについて市側と議論を重ねてきました。しかし、市側は「子供に夢と感動を与える教育的施設」というあいまいな見解を示したまま、今日に至っています。私たちはこれに対し、4万5千人の観客数という実績をつくるため、教育的事業と称して小中学生を動員することもあるのではないかとの疑念を持ち続けてきました。それが現実のものとなりつつあることに強い憤りを感じています。同時に、今後はスタジアムに大勢の人を集めること自体が目的化し、市民の施設として有効利用するという本来のあり方から大きくかけ離れてしまうのではないかと大変危惧しております。
 過日、教員・父母等でつくる「豊田スタジアム記念事業を考える会」が、イベントの中止を求めた要望書を市長および教育長に提出しました。その中で「考える会」が指摘しているように、イベントを実施することで児童生徒にさまざまな危険が生じ、学校関係者に過大な負担が掛かることは容易に予想されます。何よりも、教育の現場に携わる人たちがこの行事に教育的な意義を見いだしていないことに、この問題の本質があると考えます。

 主催者豊田市教育委員会は「考える会」の要望に対し、あくまで実施するという姿勢を崩していません。私たちは教育委員会に見解をただすとともに、これまでのスタジアムに関する諸問題を踏まえた上で豊田市に対しても、本イベントの開催について抗議し中止を求めるものであります。スタジアム記念事業の盛り上げに重点をおくあまり、事業の目的や市税の投入の必要性をあいまいにし、そして何より参加する児童生徒の安全を軽視する姿勢は許されるものではありません。これは主催の教育委員会にとどまらず、問題の多いスタジアムを強引に建設した豊田市にも問われることだと私たちは考えます。

 以上の通り、24日の記念事業については市として中止の立場をとることを要望いたします。これ以上市民の不信感を募らせることがないよう、誠実な対応を希望いたします。

Copyright (C) Toyota Citizens Associations 2001.All Rights Reserved.