会報第6号 14年4月17日 発行
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 昨年10月に松坂屋がオープンし、豊田市駅前も活気を取り戻すだろうと思われていた中、同じく駅前にある豊田サティの開店が決定しました。同7月にオープンしたスタジアムによる集客の努力も空しく、改めて「中心市街地の活性化」の難しさを思い知らされたようでもあります。現在のところ、市は、サティ跡の活用計画について具体的な意思表示はしていませんか、今までのような無駄な投資を繰り返すことだけはやめてほしいものです。
 さて、その一方で、この間豊田の廃棄物処理について動きかありました。

新清掃工場設置による環境影響評価について意見書提出

 現在、一般鹿棄物の処理施設として稼動中の渡刈清椅工場の隣に、新清掃工場が建設される予定です(稼動開始は平成19年度を目途)これは、従来の処理施設の(1)焼却処理能力の限界(ごみ増加に対応できない)及び(2)老朽化、加えて(3)ごみ質の変化(4)最終処分場(埋め立て処分場)のひっ迫(5)ダイオキシン排出抑制の要請などに対応すべく、熱分解ガス化溶融炉という新型の設備を採用し、さらに炉の規模も大きくするというものです。昨年12月、新工場設置による環境への影響を評価する準備書の説明会が末野原公民館と岡崎市細川町で行なわれ、市民の会メンバーも参加しました。そしてその内容について、今年の1月に市民の会の有志で市に対し意見書を提出しました。意見書では主に(1)焼却炉の規模拡大と形式選定に異議あり:まずゴミの排出量削減やダイオキシン等を発生する製品の生産・消費・焼却処分の見直しから始めるべきである(2)環境影響評価の意義・方法について:濃度規制ではなく総量規制を取り入れなければ意味がない。評価の前提としての推定数値の正確性に疑問。事故など緊急時の数値が明らかでない。(3)スラグ(ごみの燃え残りをガラス固化したもの)の安全性に問題なしとは言い切れない点を主張しました。

 環境影響評価とは、工場設置により大気、騒音、振動、悪臭、水質その他の環境要素にどのような影響をあたえるかを数値化して評価するものです。準備書の中では結論として「影響は小さい」との予測を示しています。しかし、そもそもの前提となる数値(たとえば、個別の施設から排出される汚染物質等の環境への寄与濃度)が説明もなくあらかじめ決まっているなど、評価の妥当性に疑問が残ります。さらに、新工場ではいわゆる次世代型と呼ばれる新しい焼却炉を採用するため、その安全性が懸念されていますが、仮に事故が起こった場合の環境に対する影響はどうなのか、そのときの対策はどうするのかが示されていません。

 市は、「事故は起きるものと考えて対応をとりたい」としながらも、「緊急時のパターンは多様なので評価の対象になりにくい」と回答しました。しかし、一般市民としては、この施設にどういう危険性があるのかが最も知りたいのであって、安定した通常稼動時の予測数値だけでは判断しきれないのは言うまでもありません。事故対策をあらかじめ検討しているならば、その内容も明らかにすべきではないでしょうか。

 一方で、この評価の内容だけでなく新清掃工場建設計画そのものにも疑問が寄せられています。ごみ減量・分別・再資源化推進を唱えながら、「既存焼却炉の処理能力の限界」「最終処分場のひっ迫」を理由に新しい処理施設を建設する。そして処理施設の安全性をアピールし、スラグを路盤材などに再利用する、というのが計画の全体像です。しかし、スラグとは本来は廃棄物として処分場で管理されるものなのですが、埋め立て処分場の新設が困難になりつつある中で、既存の処分場延命化をはかるためにもあえて「資源として利用」するとしています。言い換えれば、新工湯の建設は結果的にごみの受け入れの間口を広げ、資源と称するごみを出回らせることにほかなりません。新清掃工揚の設置が仮に環境への影響が小さいものであっても、ごみ・及びごみ処理の全過程が環境に負荷をなるべく与えないものに変わっていかなくては、意味がありません。この点が、本市のごみ問題への姿勢には欠落しているのではないかと思われます。

 今後の環境影響評価の手続きとして、市民からの意見書の提出を受けたあと、環境影響評価書の作成に移り、都市計画審議会を経て評価書の公告・縦覧の後、事業の実施に着手する見通しです。
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