会報第6号 14年4月17日 発行
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(株)枝下ダイオキシン問題その後

とよた市民の会 代表 岡田 耕一

 (株)枝下のダイオキシン問題がいよいよ最終局面に入ろうとしている。この問題については、市民の会会報にもたびたぴ取り上げられ、第4号で小林おさむ事務局長から「強制代数行をどう考えるか」という提起もされた。(株)枝下の敷地内における不適正に埋め立てられている産業廃棄物の処理は、本来、(株)枝下の責任(費用負担も含め)においてされるべきであるのだが、業者には、その能力が今はないとして、豊田市が、代わりに処理を実施するという代執行が現実のものになろうとしている。
 豊田市では、平成14年度予算としてその代執行予算を計上した。予算総額8億3,300万円。14年度に5億円、15年度に3億3,300万円という膨大な額の計上である。今年度、来年度にかけ、市民の貴重な税金を使い、廃棄物の処理が代執行されるわけだが、この代執行費は、(株)枝下に市が後から請求することになっている。しかしながら、その回収の見込みは薄いと言われている。財政支援としては(財)産業廃棄物処理事業振興財団の支援を予定しているが、その額も現時点では明確ではない。
 私は、この代執行について、今後も悪徳業者が、同様の手口で、産廃を集めるだけ集め、適正処理せず、不適正に産廃を野積みしたまま廃業してしまうという可能性を考えると躊躇してしまうが、周辺の生活環境や、ダイオキシン類やその他の有害物質等の流失、地下浸透、飛散等を考えるとやむを得ないと考える。
 ちなみに(株)枝下に貯する廃棄物適正処理検討委員会の調査結果(抜粋)は次の通りである。
廃棄物総量:約36,789m3
(比重の違いがあるので正確ではないが、およそ18,000t、10tダンプおよそ1800台分)
処理対象:混合廃棄物、焼却灰、汚染土壌、焼却炉
混合廃棄物の組成: 廃プラスチック類 49.9%
紙・布 2.4%
木くず 4.5%
金属くず 3.3%
ガラス類 1.3%
がれき類 10.4%
その他(土砂等) 28.2%
除去範囲
  • 混合廃棄物のうちダイオキシン類が埋立基準(3ng-TEQ/g)を超えた部分、鉛が環境基準(0.01mg/l)を超えた部分及び火災発生の恐れのある部分(19,037m3)
  • ダイオキシン類1ng-TEQ/gを超えて検出した焼却炉周辺の土壌(244m3)
  • 焼却灰(132m3)
  • 焼却炉(1基)
 今回の代執行については、法の処理基準に基づいて適正に処理するとしているが、その詳細は不明である。どこで処理するのれどこの業者をどのように選定するのか、溶融するのか、焼却するのか、最終的にどこでどのように最終処分されるのかなどまだ明確になっていない。市としては、処理された残渣(焼却された残りカス)、スラグ(廃棄物を超高温焼却後に冷却してできたガラス質の固化物)の受け入れ先までしっかり監視する必要がある。また、この処理がただ単に枝下から他の場所へ移動しただけということであってはならないし、こうした悪質な業者の尻拭い(代執行)を行政がすることにより第2、第3の枝下を誘発してもいけなし、私たちはこれからもしっかり推移を見守り、監視しつづけなければならないと思う。
 そもそも今回の問題の発端は、(株)枝下が、業としての焼却の許可を受ける前から問題を指摘されていたにもかかわらず、当時の許認可権をもっていた県が豊田市に権限委譲される直前に安易に許可をしてしまったことでる。この県の重大な失政とも言える無責任な対応については、今後も他市町村でも同じことが想定されるので、キチンと記録しておく必要がある。
 なお、この間の情報企開請求等によって、こうした静脈産業が、市内の著名なメーカーの処理にも関わっていることを知り得た。近い将来、産業廃棄物処理に関して、メーカーの責任が問われるような事態の発生も予想されよう。
 最後に、私たち自身の日常生活も産廃物問題と無関係ではないことを指摘しておきたい。私たちも自分自身が間接的にごみを出しているということを忘れてはならない。そして、どうしたらごみを出さない生活ができるのか考えなければならない。産業廃棄物の削減には直接的には貫献できないかもしれないが、身の回りのことについては、ごみになるものは買わない、使わないという生活を目指したいものである。
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