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おさむ会ニュース 第1号 2000.4.10発行

小林おさむ
迷する万博

   「開発万博」から勇気ある撤退を!

      〜ますます深刻になる県財政危機〜

              前県会議員 小林おさむ
 本年1月14日付中日新聞が、昨年11月に
BIE(博覧会国際事務局)議長らの来日に際
し、愛知万博計画を痛烈に批判したという機
密文書の存在を暴露して以来、万博問題は
混迷状態にあります。
 BIEが最も批判したのは、愛知県が瀬戸・
海上の森で予定していた新住宅市街地開発
事業(以下、新住事業)でした。
 そもそも愛知万博は、会場予定地を公的に
買収するために、新住事業という公共事業を
設定し、その事業で先行取得・造成した土地
を、万博会場として使うという計画でした。
新住事業に適合するには、6千戸、2万人分
の住宅を造らねばなりませんが、土地造成
が万博事業ではなくなるので、万博の費用
が5百億円ほど助かるという計算でした。
 ところが、国内外の世論の流れで、途中か
ら「自然との共生」がテーマになり、海上の
森にそれだけの住宅を造ることが自然破壊
にならないかが問題になりました。それに
BIEがハツキリ「ノー」と言ったのです。
 このような事態になったのは、県当局の姿
勢が、建前としての「環境万博」、本音の「開
発万博」という矛盾をもっていたからです。
「万博をやれば、いろんな事業が起きて、景
気も良くなるだろう」という発想では、21世
紀型の万博はできないことがハツキリしてし
まいました。
 一方、県財政はますます深刻になってきて、
本年3月末の県債(借金)残高の累計は3兆
円を突破しました。県民1人当たり約42万円
の借金を抱えているという計算になります。
そのため、まず、福祉・教育関係の予算や県
職負の給与が削られ、平成11年度からは公共
事業関係費も、圧縮せざるを得なくなりまし
た。
 財政上の数字から常識的に考えれば、「万
博のような一過性のお祭りに金を使う令裕は
ない」のです。いま、愛知県が取らねばなら
ない選択は、「開発万博」から勇気をもって、
全面撤退をすることです。そして、地域振興
とは直接結びつかない「環境万博」をする場
合、環境問題についての情報発信ができるか、
また、それがでさるだけの財政的会裕がある
のかを、真剣に議論してみることです。
 私には、これまでの万博問題への対応を見
ていると、殆念ながら愛知県には、「環境万
博」をやるだけの環境行政の集積はないよう
に思われてなりません。


 いつもマスコミで話題になる「海上の森」を見
学してみたいという方がありましたら、ご連絡下
さい。親切に案内して下さる現地のグループの人
を紹介します。ただし、最低でも2時間程度の山
歩きをすることを覚悟の上で。

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