「開発万博」から勇気ある撤退を! 〜ますます深刻になる県財政危機〜 前県会議員 小林おさむ |
本年1月14日付中日新聞が、昨年11月に BIE(博覧会国際事務局)議長らの来日に際 し、愛知万博計画を痛烈に批判したという機 密文書の存在を暴露して以来、万博問題は 混迷状態にあります。 BIEが最も批判したのは、愛知県が瀬戸・ 海上の森で予定していた新住宅市街地開発 事業(以下、新住事業)でした。 そもそも愛知万博は、会場予定地を公的に 買収するために、新住事業という公共事業を 設定し、その事業で先行取得・造成した土地 を、万博会場として使うという計画でした。 新住事業に適合するには、6千戸、2万人分 の住宅を造らねばなりませんが、土地造成 が万博事業ではなくなるので、万博の費用 が5百億円ほど助かるという計算でした。 ところが、国内外の世論の流れで、途中か ら「自然との共生」がテーマになり、海上の 森にそれだけの住宅を造ることが自然破壊 にならないかが問題になりました。それに BIEがハツキリ「ノー」と言ったのです。 このような事態になったのは、県当局の姿 勢が、建前としての「環境万博」、本音の「開 発万博」という矛盾をもっていたからです。 「万博をやれば、いろんな事業が起きて、景 気も良くなるだろう」という発想では、21世 紀型の万博はできないことがハツキリしてし まいました。 |
一方、県財政はますます深刻になってきて、
本年3月末の県債(借金)残高の累計は3兆 円を突破しました。県民1人当たり約42万円 の借金を抱えているという計算になります。 そのため、まず、福祉・教育関係の予算や県 職負の給与が削られ、平成11年度からは公共 事業関係費も、圧縮せざるを得なくなりまし た。 財政上の数字から常識的に考えれば、「万 博のような一過性のお祭りに金を使う令裕は ない」のです。いま、愛知県が取らねばなら ない選択は、「開発万博」から勇気をもって、 全面撤退をすることです。そして、地域振興 とは直接結びつかない「環境万博」をする場 合、環境問題についての情報発信ができるか、 また、それがでさるだけの財政的会裕がある のかを、真剣に議論してみることです。 私には、これまでの万博問題への対応を見 ていると、殆念ながら愛知県には、「環境万 博」をやるだけの環境行政の集積はないよう に思われてなりません。
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