この参院選で「自民党惨敗、政権交代」と
いう大方の予測が、小泉政権の誕生に、よって、
全く様変わりしてしまいました。内閣支持率
80%以上という小泉ブームが、これまでの
自民党の密室政治への閉塞感の反動による、
「何かをやってくれそうだ」という期待感の
表れであることは間違いありません。
私自身、「自民党だから、小泉さんもダ
メだ」と一刀両断には言いきれないところが
あります。そこで、小泉政権に対する私なり
の評価を簡単に述べてみたいと思います。
とは言え、小泉さんが「改革、改革」とい
う割には、改革の中味が極めて不鮮明ですの
で、その中味が明確になるにつれて、私の評
価も変わり得ることをお断りしておきます。
バブル崩壊後ズルズルと引きずってきた膨
大な不良債権が、日本経済のネックになって
いることは否定できない事実ですから、すで
に遅きに失した感があります。公的資金投入
による不良債権処理は、不良債権の国有化に
過ぎませんから、あいまいな救済策を講じる
よりは、「企業倒産もやむなし」の姿勢の方
が評価できます。特に、公団・公社・特殊法
人などの公的不良債権に踏み込もうとしてい
ることは期待できます。
しかし、倒産は失業者の増大になりますか
ら、本来ならば、リストラされた労働者の職 | |
業転換のための手厚い具体策が、不良債権処
理の前提条件として示されねばなりません。
すでに、スウェーデンでは10年来、イギリ
スでもブレア政確誕生後、こうした国の対策
によって雇用の創出に成功しています。
小泉さんが言うように、「いまの郵政事業
が不能率、不効率だから民営化する」という
発想には賛成できません。私は、郵政省の幹
部職員の実態は知りませんが、各局の現業労
働者(ユーメイトというパート職員を含めて)
が、懸命に働いているのを知っていますから。
特に、北海道から沖縄まで80円で手紙が出
せるという郵便事業は、たとえ不採算であっ
ても国営事業として維持されるべきだと思い
ます。
むしろ問題は、郵便貯金と簡易保険のあり
方です。いま両者の資金は360兆円と言われ、
世界最大の金融機関になっています。問題は
その資金の使われ方です。
戦前は、この資金はすべて戦争遂行のため
に使われました。戦後は、財政投融資として、
公共事業にどんどん注ぎ込まれました。
現在では、その公共事業が全国各地で無用
の長物になっていることは、周知のとおりで
す。無益、無駄な公共事業に投資された郵便
貯金が利子付きで償還されることがおかしい
のですが、貯金を公共事業に貸し付ける際に、 | |