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おさむ会ニュース 第6号 2001.7.29発行

小泉政権を
どうみるか
改革への期待と国家主義への恐れ 1
前愛知県会議員 小林おさむ
 この参院選で「自民党惨敗、政権交代」と
いう大方の予測が、小泉政権の誕生に、よって、
全く様変わりしてしまいました。内閣支持率
80%以上という小泉ブームが、これまでの
自民党の密室政治への閉塞感の反動による、
「何かをやってくれそうだ」という期待感の
表れであることは間違いありません。
 私自身、「自民党だから、小泉さんもダ
メだ」と一刀両断には言いきれないところが
あります。そこで、小泉政権に対する私なり
の評価を簡単に述べてみたいと思います。
 とは言え、小泉さんが「改革、改革」とい
う割には、改革の中味が極めて不鮮明ですの
で、その中味が明確になるにつれて、私の評
価も変わり得ることをお断りしておきます。

不良債権の早期処理
 バブル崩壊後ズルズルと引きずってきた膨
大な不良債権が、日本経済のネックになって
いることは否定できない事実ですから、すで
に遅きに失した感があります。公的資金投入
による不良債権処理は、不良債権の国有化に
過ぎませんから、あいまいな救済策を講じる
よりは、「企業倒産もやむなし」の姿勢の方
が評価できます。特に、公団・公社・特殊法
人などの公的不良債権に踏み込もうとしてい
ることは期待できます。
 しかし、倒産は失業者の増大になりますか
ら、本来ならば、リストラされた労働者の職
業転換のための手厚い具体策が、不良債権処
理の前提条件として示されねばなりません。
すでに、スウェーデンでは10年来、イギリ
スでもブレア政確誕生後、こうした国の対策
によって雇用の創出に成功しています。

郵政民営化
 小泉さんが言うように、「いまの郵政事業
が不能率、不効率だから民営化する」という
発想には賛成できません。私は、郵政省の幹
部職員の実態は知りませんが、各局の現業労
働者(ユーメイトというパート職員を含めて)
が、懸命に働いているのを知っていますから。
特に、北海道から沖縄まで80円で手紙が出
せるという郵便事業は、たとえ不採算であっ
ても国営事業として維持されるべきだと思い
ます。
 むしろ問題は、郵便貯金と簡易保険のあり
方です。いま両者の資金は360兆円と言われ、
世界最大の金融機関になっています。問題は
その資金の使われ方です。
 戦前は、この資金はすべて戦争遂行のため
に使われました。戦後は、財政投融資として、
公共事業にどんどん注ぎ込まれました。
 現在では、その公共事業が全国各地で無用
の長物になっていることは、周知のとおりで
す。無益、無駄な公共事業に投資された郵便
貯金が利子付きで償還されることがおかしい
のですが、貯金を公共事業に貸し付ける際に、


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