昨夏から「矢作新報」紙に6回にわたって
掲載された、梅村ロニさんの「矢作川のダム
と環境破壊」と題する論文を読んで、矢作川
の危機的状況を改めて理解しました。特に、
矢作ダムに排砂機能がないため、建設後30
年経った今日、下流の川底が一面にコンクリ
ートを張ったような固い構造になり、生態系
も単純化してしまったという指摘は、説得力
があるものでした。
ちょうどその矢先、会費だけを納めている
水源開発問題全国連絡会から、第8回総会
の案内があり、テーマが黒部川のダム排砂
問題だというので、11月24、25日と出かけま
した。
黒部川で起きている問題は、次のとおり
です。
ダムを造り管理する側からの最大の問題
は、堆砂によるダムの短命化です。その問
題の解決の切り札として、湖底近くに排砂
ゲートを備えたダムが考案され、黒部川で
は、1985年に出し平ダム(関西電力)、そ
の少し下流に2000年に宇奈月ダム(国土
交通省)が完成しました。そして、出し平
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川と海の漁民から訴えが続いた
(11月24日宇奈月温泉にて) |
ダムでは91年から、昨年は宇奈月ダムと
連携して、排砂ゲートが開けられました。
ところが、ダムから放出されたのは、土
砂ではなくヘドロだったのです。素人の私
の目でも、明かに有機質汚泥そのものでし
た。その結果、ダム下流のアユ漁はもちろ
ん、富山湾の一部の漁業も大打撃を受け、
いま公害調停が提起されています。
その原因は、「水の流れを堰き止める」
というダムの本質的な役割にあります。こ
の役割がある限り、果たしてダムは川と共
存できるのだろうかと、疑問を大きくした
のでした。
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