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おさむ会ニュース 第11号 2002.10.15発行


「矢作川を子供たちが泳げる川にしたい」…
これが、地方議員を志すにあたっての私の原
点でした。その思いから、巴川ダムや矢作川
河口堰への反対論を唱え、流域下水道ではな
く単独公共下水道にせよ、と主張し、流域の
各種開発に反対する運動に関わってきました。
 矢作川は、関係者の熱意と努力とによって、
1970年ごろに較べれば、見た目には見違え
るほどの清流を取り戻したと言えるでしょう。
しかし、残念ながら、水質や川相において、
子供たちが泳げる状態にははど遠い感があり
ます。
 川は、川だけのことを考えていたのでは、

 ドンドン借金をして公共事業をやるという
従来の政策がまかり通ってきたのは、公共事
業が景気浮揚に効果があると信じられてきた
からです。ところが、1990年代以降の景気
の状況は、それが間違いであったことを事実
をもって証明してしまったと言えるのではな
いでしょうか。
 数年前に、ある財政の研究者が、同じ金額
の投資を、従来のように土木・建築部門にし
たばあいと、福祉・医療部門にしたばあいと
で、その経済波及効果がどのように違うかを
試算しました。それによると、全体の波及効
果の数値はほぼ同じでしたが、雇用効果では、
蘇らせることはできません。何よりも山を蘇
生させ、流域に住む私たちと川との関わりを
変えていかなければ、本当の清流を取り戻す
ことはできないでしょう。
 そこで、私はまず、県の公共投資を県土の
保全事業に優先的に振り向けることを訴えま
す。一つの具体例を言えば、山林の間伐、枝
打ち、下刈りなどの作業を公共事業と位置づ
けて、計画的に実施し、山を荒廃から守るこ
とです。これは、三重県、和歌山県などで事
業化されようとしています。一口に、「脱ダ
ム宣言」と言っても、ダムに頼らない治山や
治水をするためには、ただダム建設を止めさ
えすればいいのではなく「緑のダム」といわ
れる山の治水力を回復・維持するたゆみない
努力が、流域の私たちに求められていること
を忘れてはならないと思います。
福祉・医療部門への投資方が、効果がはるか
に大きくなるという結論になりました。
 高齢化社会への対応も、21世紀のわが国
の重要な課題です。「終わり良ければ、すべ
て良し」という諺があるように、福祉・医療・
衛生の分野の充実は、人間の一生の価値を大
きく左右する課題です。この分野を、「金食
い虫」と否定的にとらえるのではなく、景気
対策・雇用対策として、積極的に評価する政
策転換が必要です。
 この分野は、つまるところ、「人が人の世
話をする」仕事ですから、リストラによる合
理化とは本質的に相容れない分野です。公共
投資をするにあたっては、収容型の福祉施設
の充実もさることながら、「人の世話をする」
人の充実、つまり、人的資源の育成、確保、
増強に惜しみない支援をすることが必要です。
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