会報 第1号  平成12年11月15日発行

11月28日市民集会の御案内はこちら

枝下ダイオキシン問題の経緯と問題点

サッカー場問題を忘れない!とよた市民の会
代表 岡田 耕一

市は6月29日、枝下町にある産業廃棄物中間処理業者「枝下」(梁川五郎社長)の煙突から俳出されたガスから、法律で定めた基準値、80ナノグラムの約44倍にあたる1立方メートル当たり3500ナノグラムの高濃度のダイオキシンを検出したと発表。(厚生省によると、過去2年間の業者者からの報告では、560ナノグラムが最高)

<経 緯>

  • 平成8年に県が産廃収集運搬業の許可
  • 平成8年に中間処理<破砕>の許可  自社ごみを焼却炉で燃やし始めた。
  • 平成9年11,12月に、住民から県に苦情(白煙や黒煙)が寄せられていた。
  • 平成9年12月からダイオキン測定が義務づけられているが、99年4月、業者は市の求めで「ダイオキシン数値は、30ナノグラム」報告。
  • 平成10年1月末、黒煙苦情から、県は「焼却炉の改善勧告」
  • 平成10年2月下旬に、住民から県に苦情(黒煙)が寄せられていた。
  • 平成10年3月3日、中間処理<焼却>の許可
  • 平成11年3月、構造上ダイオキシン発生の恐れがあるとして豊田市が指導。
  • 立入調査した3月31日以降、自主的に操業を停止しているが、市は基準値以下に収まるまで操業しないよこう求める改善令令を出した
  • 平成12年7月10日、産業廃棄物焼却炉の廃止の届出が提出。
敷地内には今なお、プラスチックや医療廃棄物も混入している廃棄物の高い山がある。また、ゲートの前には、不法投棄された廃タイヤも野積みされている。

8月27日、県、建設省中部地方建設局によるダイオキシン類濃度水質調査を実施。(単位:pg・TEQ/1)
愛知県 調査 環境基準 1pg・TEQ/1
枝下大橋下流約1Km(豊田市御船町・石野町) 0.66
越戸ダム(豊田市勘八町) 枝下大橋下流約2.5Km 0.92
建設省中部地方建設局 調査  
明治用水頭口工(豊田市水源町) 枝下大橋下流約11Km 0.19
日名橋(岡崎市日名西町) 枝下大橋下流約20Km 0.18
建設省が昨年8〜10月に全国72地点での河川調査を実施。中部6県、8地点では揖斐川の福岡橋(岐阜県)の0.8pgが最高値。

今後の市の対応

  • 希望する枝下、西広瀬住民への健康診断(ダイオキシン類血中濃度検査等)
  • 11月中句に48ヶ所の土壌、水質等の測定結果公表。

私たちの活動

  • 7月3日、現地視察
  • 8月10日、豊田市情報公開条例に基づき、(株)技下の業に関する許可申請書、県が行ってきた行政指導、改善状況がわかるもの全てについて公文書の公開を求める。
    (県の資料であるが、市が中核市になったことにより、移管された)
  • 9月4日、固有名詞などを除いてほとんど公開。
  • 愛知県のごみ問題、産廃問題に取り組まれる「あいちごみ仲間ネットワーク会議」と連携し、県の(株)枝下の対する許可や、指導に関する不備を調査。
  • 9月3日、廃案物処分場問題『中部交流集会』参加。枝下ダイオキシン問題報告。
  • 9月17日、県の廃棄物対策課と懇談会実施。(以下、内容の一部)
市民:過去に多くの立入検査、勘告が出され、改善もみられない業者に、また、直前の2月25日にも指導がされているのになぜ、平成10年業の許可を与えたのか?

県:平成10年1月の勧告に対する業者の回答をもって、県は許可を与えた。その後の立入調査、2月19日、25日の報告が県にはなかったので仕方がなかった。許可に際しての確認は、1〜2週間前に現場の確認をして許可を出している。もしも、その報告が県にきていたら、3月3日の許可はしていなかったかもしれない。

市民:報告があったら、許可していなかったのですね?大気汚染防止法に違反したかもしれない焼却炉に対し、許可を出したのですね?

県:保健所からの報告が県になかったので・‥。報告があれば許可してなかったかもしれない。(保健所と県の連絡がうまくできていなかったことを県は認める)
  • 9月27日、再度、現地視察
  • 10月8日、三重県上野ニュータウン自治会の「産廃」勝訴記念 学習交流集会に参加

枝下ダイオキシン問題を考える

現在、(株)技下は、操業停止しており、多くの市民運動が取り組んでいる焼却炉の操業停止という訴訟を起こす必要がないというのは、不幸中の幸いではある。しかし、豊田市には、現在、多くの産廃物処理業者あり、適正処理していない業者がいることも事実である。また、黒煙や悪臭の苦情が絶えず報告されている。これらは適正処理をするには無理のある安い金額で請負い、そのため本来認められていない処理方法をとっている。 このように第二、第三の枝下問題が、発生する可能性は十分考えられるが、絶えず我々市民が、ごみ問題に関心を持ち、行政だけに任せるのではなく、積極的にかかわっていくことにより問題発生を未然に防止する時代になったのではないだろうか。

調べた!わかった!情報公開

〜美術館には税金がどれくらい使われているのか?〜
〜豊田そごう閉鎖、駅前は今後どうなる?〜

 昨年7月から施行された情報公開条例制度を利用して、いま市民がもっとも気になる市政情報のうち、「美術館・コンサートホール・能楽堂」「豊田そごうと都心再開発」についてチェックしてみました。いずれも、税金の使いみちにかかわる重要な問題です。ここでは、実際に請求を行なった、とよた市民の会の会員2名からの報告を紹介します。情報公開請求は簡単な手続きでできますので、皆さんも知りたい情報があればぜひこの制度を利用されることをおすすめします。
(市役所南庁舎1階・市政情報コーナー)
美術館、コンサートホール、能楽堂 編
(とよた市民の会 小坂井 利生)

 私は今回税金の使われ方を検証するために情報公開条例を使って美術館、能楽堂、コンサートホールの維持管理費、入場者数等の公開を請求をし公開が決定されましたので、その概要をお知らせします。

美術館

 建物建設費123億円と、平成10年度末までに445点の絵画など収蔵品に99億円の税金を投入している。
  11年度には  人件費          1億4900万円
         維持管理費        3億 100万円
        ※展覧会持ち出し費用    1億5400万円
         美術品収集費       7億5100万円
         駐車場整備費       1億2300万円
     (※展覧会収入は2800万円、それに対し支出は1億8200万円となっている)
の、合計14億7800万円もの税金が使われている。入場者数は68253人(のべ人数)であるが、うち29389人(同)は無料入場であり、これらの人が自発的に美術館へと足を運んだものなのかは定かではない。

コンサートホール

コンサートホールの定員は1010名、能楽堂は458名であるが、建物の取得費60億円と内装費42億円およびパイプオルガンの設置費に3億円をかけている。
  11年度では 管理委託費     2億7000万円  (委託先:文化振興財団)
        運営費負担分      9000万円
        人件費       1億4200万円

の、合計5億200万円が税金から使われている。 利用状況は(有料の催事・年間)
  コンサートホール  32日  入場者数 20688人 (入場率64%)
  能楽堂       12日  入場者数  3072人 (入場率84%)

となっており、費用の51%はチケット収入で、49%は市が負担することによってまかなわれている。

◆チケットを買って見に行く人は、年間2〜3回は足を運ぶものと思われるので、実質これらの施設を利用する個人の数は、入場者数(のべ人数)の2分の1〜3分の1となる。全市民の2〜3%の人たちのために、美術館では220億円の巨費と年間15億円近い税金を使い、コンサートホール、能楽堂には100億円以上の投資と5億円以上の税金を毎年使っていくことを市民がどう考えるかは大いに議論すべきである。

豊田そごうと都心開発編
(とよた市民の会 小笠原 輝美)

 豊田そごうの閉鎖が決定したのは10月25日。この1週間程前の17日に、公文書の情報公開請求により、ある株式会社の書頚を手に入れることができました。「豊田都市開発株式会社」、豊田市が全体の39%を出資しているいわゆる「第三セクター」です。駅前のそごうビルを豊田そごうと共有し(都市開発の持分は10万分の60012、およそ6割)、テナントに貸すなど豊田市駅西口の再開発事業への参画、再開発ビルの経営管理が主な事業となっています。
 豊田そごうの存続・閉鎖については、以前から注目されていましたが、一企業の問題というだけではありません。都心整備の一環として、そごうを誘致し支えてきた行政側がこのような事態を一体どうとらえているのか。そこで豊田そごうと関係の深い豊田都市開発(株)の最新資料の公開を請求してみることにしました。
 豊田都市開発(株)の担当部署なるものがどこになるのか全く見当がっかなかったので、市政情報コーナーで問い合わせてみたところ都市整備部都市整備課であることがわかりました。しかし、そこでも豊田都市開発(株)に関する資料はほとんど持っておらず、今年6月に開催された株主総会の資料がある程度でした。その公開を請求したところ、貸借対照表・損益計算書・利益処分案等は公開になりましたが、「営業の経過および成果」「資産の状況」「役員報酬」等は非公開決定となりました。これらを公開すると会社など法人の競争上の地位、財産権など正当な利益を害するおそれがあるとして、情報公開条例の非公開の要件に該当すると認められたためです。
 近年の駅前の変貌ぶりに象徴されるように、都心再開発は市の最重要事業の一つであるはずですが、一株式会社の事業活動であるとの理由で、市民には情報が十分に公開されないのが現実です。豊田そごう閉鎖後、ビルのそごう持分の処分として、豊田都市開発(株)が買い取ることも十分予想されますが、これが結果的に新たな市費の投入になるにもかかわらず、市民の監視が行き届かないまま実行されてしまう危険性があります。また、この市費の投入そのものがどれほどの効果を生むのかも旋問です。そごうに代わる新しい大型店を誘致し、市のバックアップで何とか都心を盛り上げていこうという動きもあるようですがこれが成功するという保証はなく、さらに市の負担が増えてしまうこ とも考えられます。行政が先頭になって多額の税金を投入するという、これまでの再開発のやり方を見直す時期に来ているようです。

豊田都市開発株式会社 (定時株主総会資料より)
   資本金‥・6400万円        株主数・・・27名(平成12年3月3日現在)
   代表取締役社長・・・寺田勝一氏  取締役会長・・・鈴木公平氏
   営業総利益                   94,509,500円
   経常利益(営業総利益+営業外収益−営業外費用)  1,354,136円
     当期未処分利益(10,871,013円)はすべて次期に繰り越す

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     郵便振替 口座番号 00860−4−54826
          加入者名 とよた市民の会

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