会報第16号 17年6月1日 発行
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第2期 第1回 市民講座 報告
地域医療の現状と課題
講師:亀井 克典さん(医療法人生寿会かわな病院副院長・地域医療研究会事務局長)
 「医療」をテーマとする「とよた市民の会」の第2期市民講座は、3月26日の地域医療を考える講座で、はじまりました。
 講師の亀井さんは、新潟、長野、和歌山の地方病院で、内科の臨床医や病院の責任者としての経験をし、昨春に名古屋のかわな病院の副院長となり、都市型地域医療のあり方に取り組んでいる方です。
 以下は、主催者側で勝手にまとめた当日のお話の要旨です。

地域医療とは何か
 「地域医療とは何か」については、黒岩卓夫先生がまとめられた「予防からリハビリステーションまでの一貫した医療」という定義があります。黒岩先生は、25年以上も前から、新潟県の町立ゆきぐに大和総合病院で、在宅医療に先駆的に取り組まれた方で、後に厚労省が、黒岩先生の実践を基にして、在宅医療についての施策を考えたと言われている人です。
 私は、黒岩先生の定義を基に、自分なりの思い入れを込めて、地域医療を「地域住民の健康を総合的に把握し、守り、増進するための医療システムの構築」と呼んでいます。
 例えば、脳卒中という病気を例にしますと、患者を受け入れた病院は、急性期医療として、検査をし、手術をしたり薬を投与したりして、その結果、症状が一定の段階で安定すれば退院ということになります。しかし、地域医療という概念で考えると、医療はそれだけをやっておれば良いのか、という問題です。
 脳卒中になるのにはそれだけの原因があるのですから、そうならないための食生活の改善や健康管理を指導し、また、急性期医療の結果、後遺症が残れば、きちんとしたリハビリをして、病後も安定した幸せな日常生活ができるようにする、こうしたトータル・ヘルス・ケアをするのが、地域医療の使命ではないかと思うのです。
 そのためには、医療機関同士の連携はもちろん、福祉・介護との連携が必要不可欠です。

医療機関の機能分化と連携
 最近の病院では、国の方針もあって、病床の機能分化が非常に進んでいます。病床は大きくは、一般病床と言われる急性期医療の分野と、長期入院を前提とした療養病床との2つに区分されますが、これからはこの2つの間に、回復期のリハビリのための病床や、緩和ケアのための病床など、さらに細かく機能が分化されていくと思います。大きな病院に罹ると、病棟によって病院側の応対が異なることがあるのは、そのためです。
 この病床の機能分化は、診療報酬体系とも関連しています。

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