私たちが6月25日にした申し入れに対して、7月9日午後3時に下記の通り回答がありました。


「住民基本台帳ネットワークシステムに関する申し入れ」について

平成14年7月9日
愛知県総務部市町村課

1 個人情報保護法が成立しない場合、ネットの実施は見送られるべきか。延期を国に働きかける用意があるか。

個人情報保護法が成立しなかった場合でも、住民基本台帳法で、行政機関は法律で定められた事務処理以外の目的のために住基ネットから提供を受けた本人確認情報を利用してはならないこととされています。また、市区町村、都道府県、指定情報処理機関及び本人確認情報の提供を受けた行政機関のシステム操作者(委託業者も含む。)に守秘義務を課し、通常より重い罰則を課していますので、個人情報保護法が成立しなくても十分に個人情報の保護は図られていると思います。

また、住民基本台帳ネットワークシステムの運用開始に関する改正住民基本台帳法の規定は法律の公布の日(平成11年8月18日)から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされており、個人情報保護法案が成立すると否とにかかわらず、法令で定められている日に施行することが義務づけられております。

従いまして、県として国に延期を働きかける予定はありません。

2 制度のメリットとデメリットをどう考えているか。

住基ネットが動き出すと、法律で認められた範囲内でネットから氏名や住所を確認することが可能となります。これにより今まで行政機関に提出いただいていた恩給、共済 年金などの現況届や各種資格申請時に添付する住民票の写しの提出を省略することが可能となります。若干準備にお時間をいただきますが8月5日以降順次対応が予定されています。このほかにも、来年度になりますが、全国どこの市町村でも住民票がとれるようになるなどいろいろなメリットがあります。
これらのメリットについては、お金に換算するのは難しいのですが、例えば、総務省によれば、日本全体では毎年3500万人の年金受給者の方が現況届の提出を求められ、また8500万枚の住民票の写しが毎年発行されています。これらのうち現行の法律に基づく限りでは現況届については当面500万件程度、住民票の写しについても当面500万件程度の省略が可能となる見込みです。

3 不適正利用などにより県民の基本的人権が侵害されると判断した場合、県としては県民の基本的人権を守るために主体的にどのような措置を取られるのか、具体的に説明せよ。

住民基本台帳法で、行政機関は法徒で定められた事務処理以外の目的のために住基ネットから提供を受けた本人確認情報を利用してはならないこととされています。この法律の規定に違反した場合の罰則は定められておりませんが、国家公務員法及び地方公務員法に基づく懲戒の対象となります。
ネットワーク外部からの侵入などにより県民の皆様の個人情報が漏洩する危険が発生したときは、ネットワークの運営を停止するなど、個人情報保護を最優先した運営を行います。このような緊急時の運営方法については、あらかじめ「緊急時対応計画」を策定し連結先や対処方法等、体制を整備しておきます。

4 指定情報処理機関に事務を委任せず、県自身の責任においてシステムの運用を行うべきだと思うが、どのように考えているか。

指定情報機関に県の本人確認情報処理事務の一部を委任することは法律で認められております。
指定情報処理機関は法律に定められた指定基準を満たす法人として総務大臣の指定を受けており、役職員については公務員と同等の守秘義務が課されています。また総務大臣の認可を受けて本人確認情報管理規程を制定するなど、十分な個人情報保護措置が講じられています。

5 負担の大きい町村に対して県として財政的支援をする用意はあるか。

用意はありません。ネットワークの導入と維持管理に要する標準的経費は普通交付税で措置されております。

6 県としての財政上の費用対効果はどのようになるか。

県においては、法律で認められた範囲内で本人確認情報を積極的に利用することで投下した費用に対応する効果を確保できるよう努力してまいります。ただし、本人確認情報を県が利用することにより、住民の申請手続きの簡略化、事務の効率化の他にもいろいろなメリットが派生してまいりますので、効果を金銭的価値に換算することは難しいと思っております。

7 どのように県民の声を反映する努力をしたか。

住民基本台帳ネットワークの構築は、法律で定められたことです。総務省では、この法案の提出に向けて4年間かけて幅広く様々な検討を行い、各方面に対して考え方を示してきております。平成8年3月の「住民記録システムのネットワークの構築等に関する研究会」最終報告書、同年12月の「住民基本台帳ネットワークシステム懇談会」での意見槻要を公表してきたのを始め、平成9年6月に公表された「住民基本台帳ネットワークシステムの構築について(住民基本台帳法一部改正試案)」では、総務省としての考え方を示し幅広く意見を求めております。

8(1) 愛知県が保有することになる本人確認情報は住民基本台帳法別表に規定する10省庁93事務以外に提供しないこと。とりわけ重大な人権侵害につながる可能性を含む公安委員会への情報提供をおこなわないこと

法律により認められた範囲でしか提供は行いません。

8(2) 「行政機関の保有する電子計算機に関わる個人情報の保護に関する法律」に基づいて個人データファイルの存在を公表していない機関に対しての、本人確認情報を提供しないこと。

法律により認められた範囲でしか提供は行いません。

8(3) 本人確認情報を提供する場合、適用する事務及びその内容を事前に県民に周知すること。また、提供がなされた場合、どのような事務に、どのような内容を提供したのか、報告書を作成し、定期的に県民に公表すること。

今後の課題として認識してまいりたいと思っております。

8(4) 住民基本台帳力ードの利用を市町村に奨励しないこと

カードの多目的利用を行うかどうかは各市町村の判断によるものと考えております。

8(5) つくられることが義務づけられている本人確認情報保護審議会については、県民のプライバシー保護を最優先させた人選・運用をすること。

本県においては、県民のプライバシー保護を最優先とするため、既設の個人情報保護審議会を本人確認情報保護審議会として位置づけました。

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