会報第9号 15年3月27日 発行
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渡刈漬掃工場周辺の松葉によるダイオキシン調査結果報告
市民の会事務局長 小林 おさむ       
松葉によるダイオキシン調査とは

 私たちは、大気中のダイオキシン類を松葉の採集で調査するという活動に参加しました。これは、(株)環境総合研究所を事務局とする「市民参加による松葉ダイオキシン調査実行委員会」の呼びかけで、クロマツの松葉のダイオキシン類濃度を測定して、周辺の大気の状態を調査しようとするもので、上記研究所が1999年から市民運動としての展開を提唱し、毎年秋に実施しています。
 しかし1検体の分析費が14万円するため、私たちは渡刈清掃工場周辺に絞って参加しました。松葉の採集は清掃工場周辺の住民に依頼し、11月10日〜12日清掃工場の南西例の渡刈町から5地点、北東側に位置する河合町・今町から6地点の合計11地点かも採集されて、1検体とされました。この松葉は凍結乾燥処理された後、カナダの分析機関に送られ、1月に分析結果が通知されましたので、要点のみ報告します。

測定分析結果
(1)毒性等量・実測濃度結果
本調査の測定結果より、WHO方式による毒性等量の概要を表5-1に示す。
結果は表及び図に示したように、毒性等量濃度で1.81pt-TEQ/g、実測位で122.23pg/gとなった。

表5-1 松葉(クロマツ)に含まれるダイオキシン類濃度
  実測濃度(pg/g) 毒性等量濃度(pg-TEQ/g)
PCDD PCDF 合計 PCDD PCDF 合計
測定結果 66.25 55.98 122.23 0.59 1.22 1.81
割合(%) 54 46 100 33 67 100
注) ND処理方式は、WHO方式(ND=1/2MDL)を採用

 毒性等量濃度について、PCDDとPCDFの割合を見るとPCDFの割合がPCDDの2倍強と多くなっ
ており、焼却由来の特赦を示している。

(2)大気環境濃度の推計
 次に、今回測定した松葉中ダイオキシン濃度から大気中のダイオキシン類濃度を堆計した。松葉中のコプラナーPCB類濃度について、全体のlO〜20%が含まれるものと仮定して推計し、全ダイオキシン類濃度を求め、その上で大気中の濃度を松葉の濃度の1/10として算出した。

表5-2 松葉に含まれるダイオキシン類濃度から堆計した大気中のダイオキシン類濃度
  松葉(クロマツ換算から推計) 大気
PCDD PCDF PCDD+PCDF Co-PCBs
推計値
PCDD+PCDF
+Co-PCB
PCDD+PCDF
+Co-PCB
渡刈清掃工場周辺 0.59 1.22 1.81 0.2〜0.45 2.01〜2.26 0.2〜0.23

 上記より、今回分析したクロマツの測定結果から、同地域の大気中のダイオキシン類濃度は、0.20〜023pg-TEQ/m3と、推定され、環境基準の範囲内となることが示唆された。

評価
(1)毒性等量の濃度結果について
今回の測定値1.81pg-TEQ/gは、わが国の大都市地域の平均濃度が3〜5pg-TEQ/gであることと比較すると、発生源周辺を対象とした調査としては低い濃度であった。しかし、国際比較では、欧米諸国の松葉中のダイオキシン類濃度が1.0pg-TEQ/gを下回ってしいることに留意する必要がある。
(2)大気中のダイオキシン濃度について
 豊田市内の一般環境大気中ダイオキシン類濃度は、環境省によって市内3地点で行われているが、その平均値は0.14pg-TEQ/gである。これに比較すると、清掃工場周辺の0.20〜0.23pg-TEQ/gは倍近い数字を示しており、清掃工場の存在によるものであることは明らかと思われる。

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