とよた市民の会の新企画である第1回市民講座は、12月18日午後6時30分から、豊田産業文化センターで開催されました。私たちの宣伝不足のためもありますが、参加者が30名にも満たなかったことは残念でした。
講師の伊藤さんは、介護保険制度を立ち上げる際に、国レベルでの審議に加わった人で、東海市で開業医を営みながら、各種のボランティア活動のリーダー役として活躍しています。
介護保険は、介護の社会化への道を開いた
まず、施行から3年を経過した介護保険制度の現状について、伊藤さんは、「改善しなければならない点はあるけれども、概ね順調に推移している。何と言っても、介護の問題を家族だけで抱え込むのではなく、社会化することに道を開いた意義は大きい」と評価しました。
伊藤さんが示した資料によれば、制度開始後2年半で認定者は1.5倍、在宅利用者は約2倍に増加しており、4兆円市場を形成しつつあると言われています。
そして、制度への批判としてよく口にされる、「認定は不正確・不公平なのだろうか」「自己負担はサービス利用を抑制しているのか」という疑問に対して、調査統計の結果から、そのような批判は当たらないとの説明がされました。
収容型施設よりも、在宅福祉サービスの充実が課題
さらに、伊藤さんは、特別養護老人ホームなどの収容型施設を誰が望んでいるのか、という問いを発し、滋賀県での調査から、入所者本人が自ら入所を希望しているのは、全体の22%に過ぎず、「仕方なく希望」を含めても、本人が希望して入所したのは、約半数に過ぎないことを明らかにしました。
ここから、「収容型施設は要介護者の隔離に過ぎず、少なくともこれ以上、大型の収容型施設は造るべきではない。在宅福祉の充実こそを行政の第一義的課題にすべきだ」という、講師の持論が熱っぽく語られました。
講師の質問に対して、代表の岡田市議が、「豊田市には、6つの既設と計画中の3つの、併せて9つの特養施設があります」と現状を説明したのに対し、伊藤さんが、「35万の人口で9つは多すぎるぐらいだ。もうこれ以上造らせてはいけませんよ」と念を押したのが印象的でした。
私なりに、伊藤さんが言わんとするところを解釈すれば、行政が住民ニーズに応えるという理由で安易に収容型施設を造るのは、介護保険制度の本旨に沿うものではない。ケア・マネージャーやヘルパーの質量を充実させて、住民ニーズを在宅介護の方へ誘導 →次のページへ |
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