会報第23号 20年1月16日 発行
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市民講座報告
「公的年金制度の問題点と最低保障年金制度の創設をめざして」
講師:杉崎伊津子さん(全厚生東海ブロック年金講師団)
 H19年10月20日(土)、全厚生東海ブロック年金講師団の杉崎伊津子さんに社会保険事務所勤務の経験をもとに現在の制度の問題点についてご講演いただきました。
 以下は、主催者の責任においてまとめた当日の講演要旨です。(文責:岡田耕一)

 長い間、社会保険庁にいた。仕事のなかで身に付けた知識等を皆さんに伝えたい。今の制度は複雑怪奇となっている。安心して暮らせる制度とするため、何の改善が必要か、皆と学びあいたい。

国民年金の収納率
 (平成19年)10月14日の新聞に国民年金の収納率が発表された。20代前半で納付率は26%、全体でも49%。これまで64%を80%にすると坂口大臣が在任中に約束していた。公務員の長官ではだめだからと損保会社の社長を長官にして、成果主義が導入されたが、効果がなかった。64%と発表していたときは免除者を含んでいたが、この49%は免除者を含んでいない。含めると66.3%となる。制度的な矛盾がやまほどある。それを解決せずして、国民年金の保険料の収納率を高めることはできない。

カバー率として問題のある制度
 障害基礎年金は、国民年金法に基づいて給付される障害年金で、傷病によって、一定程度の障がいの状態になった者に対して支給される。障がいを持ったときに確実に給付されることが大切。現在の年金制度では、未納があったら、給付されないという厳しい制度がある。初めて医師にかかった日から換算して、1年にわたって未納がないか、3分の2以上納めているかチェックし、1日分でも足りなければ障害基礎年金が出ない。病院に行くのがあと20日遅ければ障害基礎年金が出たという人もいたが、法的に救えなかった。

給付水準はどうか
 給付水準が高くないと安心して暮らせないが、生活実態をアンケートした結果、生活の苦しさが分かる。収入が国民年金だけの方の平均収入額は47,000円。生活保護受給者は平均9万円もらっている。生活保護を申請してもらえることになっても年金分は減額されるので、結局、9万円で生活しなければならない。平成11年の統計でサラリーマンだった方の年金の65歳からの満額平均受給額は17万2,000円。今はだんだん下がり、17万円を切っている。奥さんが国民年金で満額もらったとして月額6万6,000円。夫婦で23、4万円では足りない。生保会社がアンケート調査した結果、26万円は必要とされる。貯金がないと生活できないが、25%の国民が貯金がないという時代。若者の非正規雇用が増える状況のなか、これでいいのか。

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