会報第23号 20年1月16日 発行
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〜ガソリンが高くなり…、環境問題を考えた〜
編集後記

 昨年からの原油価格の高騰は、ガソリンや灯油だけでなく食料品の値上げもともなって私たちの暮らしを直撃しています。原材料費や燃料代の上昇分を価格に転嫁できない産業にとっては死活問題ですが、地球温暖化の防止や石油ピークの観点から環境派の人々は否定的にとらえることに反対します。

◆「自動車の燃料」か「人間の食糧」かという選択!・・・投機マネーの流入による原油高や原油生産量の減少をうけて、ここ数年アメリカやブラジルを中心にガソリンに代わる自動車燃料として、とうもろこしやサトウキビから作られるバイオエタノールの生産が急増しています。そのためアメリカでは大豆からとうもろこしへの転作がすすみ、大豆の生産量が減少したため大豆の国際的な取引きに影響がでています。人間の食糧が自動車の燃料にとってかわられようとしています。環境問題の視点からバイオエタノールはクリーンエネルギーとして注目されています。しかし、温暖化の進行による食糧不足の可能性を考えると、バイオエタノールはガソリンの代替エネルギーとしてふさわしいのでしょうか。地球上で8億人が常時自動車を利用している一方で、8億人が飢餓の状態にあるという統計もあります。途上国の人口抑制とあわせて先進国の自動車台数の削減が優先されるべきだと思うのは私だけでしょうか。

◆「土建国家」から「持続可能な福祉社会」へ・・・最近ガソリン価格の高騰を理由に「道路特定財源」の原資となるガソリン税等の税率を下げよという意見をよく耳にします。高度経済成長の終わった今の日本で必要性の低い道路整備を促進しかねない道路特定財源の維持はもはや不要であり、自動車に依存した交通体系の見直しからも税率を軽減することは歓迎すべきことだと思います。ただ税率を軽減することでガソリン等のエネルギー消費が増大することは避けなければなりません。1990年代にヨーロッパ各国では「環境税」あるいは「炭素税」を導入し、環境に負荷を与える行為(主に化石燃料の消費)に対して課税を行うことでエネルギー消費を抑制する政策を採用してきました。その税収は社会保障の財源、具体的には企業や個人が負担する社会保険料の引き下げに充てられています。こうした税制改革には企業の労働コスト削減をとおして雇用の増加を生み出し、高失業率の改善をはかる効果が期待されています。従来型の経済成長を通じて所得再分配や福祉制度の拡充を可能にしてきた福祉国家の維持が、経済のグローバル化や環境制約のもとで困難となっているなか、ヨーロッパ各国の税制を通じて「環境」と「福祉」を調和させようという試みを、日本も真剣に検討する時期にきたのではないでしょう
か。「不都合な真実」の中でゴアが言うように、燃費のいい自動車、省エネの家電製品を買うことは消費者の選択として大切なことですが、将来にわたって持続可能な社会を維持するためには、これまでの安価な石油の大量供給を前提にした大量生産→大量消費→大量廃棄→大量リサイクルといった生産システムや経済構造、また膨大な石油消費に依存した現代文明を享受している私たち一人一人のライフスタイルを見直すことが重要となります。これからも今まで以上に環境問題を考えていきたいと思います。
(文責・とよた市民の会下島陽一)

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