会報第15号 17年3月9日 発行
1ページ2ページ3ページ4ページ
 とよた市民の会第4回市民公開講座が、平成16年10月23日こ豊田産業文化センターで開催されました。社会福祉士の前本好江さん(西三河後見ネット代表)、司法書士の川上明子さん(同ネット会員)を講師としてお迎えし「介護を支える社会システムの構築…成年後見制度などを中心に」というテーマで講演会を行ないました。
 成年後見制度とは、認知症(痴呆症)の高齢者・知的障害者・精神障害者など判断能力が低下している人(本人)の権利を守り、安心して生活ができるようにするためのシステムです。この制度は民法に定められており、成年後見人と呼ばれる本人の代理人が、本人のために生活に必要な契約などの法律行為を行なったり、財産を管理したり、さまざまな手配を行なったりします。まずは川上さんに、この成年後見制度が始まった社会的背景、および制度の概要をお話していただきました。
 2000年、介護保険制度と同時に成年後見制度がスタートしました。この背景として、高齢者福祉をめぐるさまざまな社会問題の発生が挙げられます。それらは、高齢者の増加(5人に1人が65歳以上)、家族の形態の変化、年金の充実といった高齢者の経済力の上昇などを契機として起こってきています。一方、福祉サービスの提供の形態が、措置から契約へと移行しつつあり、行政は「在宅介護」を重点化する福祉政策をすすめています。これらの流れを受け、「介護を社会全体で支え、費用の一部は利用者負担にする」「介護の内容を利用者が自己決定する」という介護のあり方を実現するための介護保険制度が、そして利用者たる高齢者をサポートするためのシステムとして成年後見制度が始まりました。
 成年後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3つの類型に分かれます。家庭裁判所に申立てがなされますが、申立ての最も多いのは「後見」です。これは本人の判断能力がほとんどなく後見人が本人の代理人として事務を行なう、というものです。そして、この成年後見制度とは別に、本人に判断能力があるうちに、将来後見人を受けてくれる人と公正証書で契約を結んでおく任意後見制度もあります。これは、子供がいない、あるいは身内がいても頼れないといった事情を抱え

1ページ2ページ3ページ4ページ

Copyright (C) Toyota Citizens Associations 2005. All Rights Reserved.