会報第18号 18年1月11日 発行
1ページ2ページ3ページ4ページ
教育システム
 受けた教育、出身大学、経歴を見れば医師のレベルが分かることもある。地方大学では自らの県で役立つように実践的な教育をし、臨床的に優秀な医師が多い。ある私立大では、入学金が高く、普通の人は入れない。現在、国家試験に受かることが第一となり、最初から臨床医学ばかりになった。ドイツ語もラテン語も分からない医師もいる。今は研修が義務になったが、2年前までは、研修がない大学もあった。ある公立大では、研修なしで直接入局していた。そのような医師はオールマイティに診る能力はないと見ていい。

医局制度のメリット、デメリット
 医局制度のデメリットとしては、教授を頂点にした大学の医局がすべての病院の人事権を握っているから各病院では医師を自由に採用(異動)できないなどがある。しかし、メリットとしては、医局の人脈では、お互いに情報交換できるからどこの病院に誰がいて、何を専門にしているかわかる。同門の医者がいれば、安心して紹介された患者を受け入れることができる。最近では、医局に入らず、すぐに開業される方もいるが、医局を経験して枠に乗った人の方が患者さんにとってはいいと思う。
 医局の権限が低下すると過疎地の病院に医局から医者を送り込むというシステムが崩壊する。もうすでに地方病院には医師が提供できなくなっている。

小児医療の問題点
 通常、医療では、1次救急、2次救急、3次救急と分けているが、子どもの場合は、分けてもしょうがない。専門医のいない救急夜間病院だと誤診の可能性もある。小児科学会は各地の病院に中途半端な人員体制にするより、拠点病院に手厚く10〜15人を24時間体制で配置しようと検討している。大病院をより大きく、小病院は小児科を廃止する方針。当地区で言えば、加茂病院とトヨタ記念病院の一方の小児科をなくし、一方を充実させるという考え。また、小児科医の3割以上が女性医師で産休、育児休暇の問題もあり、大学病院でさえ、診療ができない状況もある。内科を専攻した医師が開業して、小児科も掲げる。開業自由の弊害である。看板に内科、小児科と書いてあったら、まず内科医。約75%の子どもが小児科専門医以外から診察を受けている。

小児科救急に対応できる豊田市のシステム構築を
 子どもの救急の時間をみると19時から22時までが多い。深夜は少ない。父親が帰って来てからの診察が多い。0時以降はほとんどいない。土、日曜日は9時から増える。豊田加茂医師会では加茂病院、トヨタ記念病院、地域医療センターで輪番制で小児科医を配置して満足しているようだが、どこに小児科医がいるかの情報は、秘密扱い。
 豊橋市では、時間外診療を豊橋小児科医会が、豊橋市休日夜間急病診療所で実施。休日診療は、午前9時〜午後7時、平日夜間は、午後8時〜翌朝午前7時まで専門医が診てくれる。一宮市や岡崎市も同様のシステムがある。小児科開業医に長時間診療を期待するのには無理があるので、豊田市でもシステムを考えてほしい。例えば、開業医が輪番制で19時から加茂病院の救急外来を借りて診療すればいい。加茂病院なら入院もできる。医療事故がおきたときに誰が責任を取るのか、という問題もあるが、この時間帯だけに市が保険をかければいい。

1ページ2ページ3ページ4ページ

Copyright (C) Toyota Citizens Associations 2006. All Rights Reserved.