会報第27号 2011.11.2 発行
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河村たかし市長はどこへ行く?
 名古屋市では、河村たかし氏が市長に就任して以来、様々な問題がマスコミに大きく取り上げられています。豊田市の議員として、他市のことに、くちばしを挟むことは僭越ではありますが、時事問題として、河村市長の施策である「地域委員会」、「愛知県と名古屋市の一元化」、「市民税10%減税の恒久化」について、概要と私見を述べさせていただきます。
 名古屋市では、選挙で選ばれる市議会議員以外に、「地域のことは地域で決める」という理念のもと、地域課題を解決するために、投票で選ばれた地域委員会委員を中心に公開の場で話し合い、本市予算の一部の使い途を決める“新しい住民自治の仕組み”として「地域委員会」の創設を目指しています。ただ、現在は、市議会の反発もあり、モデル地区だけでの実施となっています。この点では、課題はあるものの豊田市の地域会議を参考にされてもいいと思います。
 また、河村市長は、「名古屋市と愛知県で司令塔を一つに」というキャッチフレーズのもと、二重行政になっている名古屋市と愛知県の無駄を省き、国の出先など国への行政改革の要求も強めると言っています。この流れは、大阪府と大阪市と解体して、東京都と同様な大阪都を作るという橋下大阪府知事とは、多少の考えの違いがあるかもしれませんが、方向性は同じと言えるかもしれません。
 そして、名古屋市民にとって、一番の関心事である、「市民税10%減税の恒久化」が、更に大きな問題として、再度、クローズアップされようとしています。河村氏の主張では平成22年度予算において、「減税分161億円に対し、すべて行財政改革で185億円を捻出、起債増無しでの減税を実現したにもかかわらず恒久減税化は議会により否決」。これは、けしからんということで、平成23年には、市長辞任による再選と、住民運動としての市議会リコールにより、自分の仲間である「減税日本」議員が名古屋市議会で第1会派となる大量当選もされました。そして、平成23年9月27日の9月定例市議会では、「減税の是非を問うための住民投票条例案」を提出することを明らかにしました。

 私見を申し上げれば、市長や議員・議会が民意を反映していないことがたびたびある昨今、政策の是非を問う住民投票の実施は、代議制を補完する意味では、必要不可欠だと思っています。
 ただ、この「減税の是非」については、河村氏もことあるごとに言われているように「平成の楽市楽座」であり、高収益の企業や高額所得者のみが恩恵を受けると言わざるを得ません。高収益の企業や高額所得者の市民税を恒久減税することにより、企業誘致や高額所得者の名古屋市への転居が進み、長期的には、市の税収はアップするかもしれません。しかし、生活保護世帯はもちろん、市民税非課税世帯や、高額所得者ではない市民にとっては、減税効果よりも税収低下による公共サービスの低下など、所得再分配機能が弱まる可能性は大です。ちなみに名古屋市では市民税非課税世帯が52%を占めると言います。実際に名古屋市では平成23年度予算案では今年8月から総額約1億円増となる各種料金改定案が盛り込まれました。
 このように、減税することで市民生活に直結する市民サービスが低下する可能性があることも市民がしっかり理解し、住民投票が実現した時には、市全体のことをよく考え、自らの信念に従って、投票していただきたいものです。それと同時に、マスコミ各社には、視聴率至上主義から脱却し、「恒久減税の是非」について、公平、公正な情報提供、報道を望みたいものです。
(とよた市民の会 代表 豊田市議会議員 岡田 耕一)

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