1ページ 2ページ 3ページ 4ページ 戻る
おさむ会ニュース 第12号 2003.1.1発行

 2000年4月から実施された公的介護保険
制度は、一部に反対論もありましたが、これ
まで家庭の中に閉じ込められ、特に女性に押
し付けられてきた介護を社会化する一歩を踏
み出したことには、大きな意義があると思い
ます。加えて、急激な少子化の中で、育児の
社会化も大きな課題になってきました。
 しかし、私は、特養ホームの建設や延長保
育をするという、収容型施設の充実だけでは、
本質的な解決にはならないと思います。
 これまでの社会を築いてきたお年寄りも、
これからを担う子どもたちも、共に「社会の
宝」だからこそ、社会全体でお世話をするの
だ、という共通認識が必要です。世話をすべ
き家族を収容施設に入れたから一安心、とい
う風潮も一掃されなければなりません。
 それには、収容型施設の拡充とともに、男
女が協力し合って介護や育児ができる社会シ
ステムづくりが必要です。男性が育児休暇や
介護休暇をとることが新聞記事になるようで
は、まだまだこれからだと思います。サービ
ス残業をして、過労死に至るまで働くという
「会社人間」的男性が尊重されるようでは、
男女共同参画社会は夢物語です。
 介護や育児の社会化とは、単に女性の負担
を軽くするという問題ではなく、労働のあり
方や、夫婦や家族の人間関係のあり方までを
問う問題です。
 さらに、一昔まであった「福祉のお世話に
なる」という発想も一掃されねばなりません。
 福祉は、お上(行政)が権限と責任を一手
にして措置する(面倒をみる)ものではなく、
「困ったときはお互い様」の精神で、お世話
をし合うことに本質があると思います。ただ、
そうした人間関係ができるシステムづくりに
は、行政が責任をもたねばなりません。
 その意味で、NPOやボランティア団体が、
単に行政の下請けになるのではなく、福祉活
動の主体となるようなシステムが必要です。
 この分野での行政の役割は、住民と一番密
接な市町村の役割が最も大切ですが、県とし
ては、単に国からの情報の市町村への伝達機
関に終わるのではなく、市町村の立場に立っ
て、市町村が抱える課題の解決や提案の実現
を国に追っていく姿勢が求められます。
 特に県は、雇用の確保を含む労働行政やN
PO法人の認可については、市町村とは違う
権限をもっていますから、ただ国の政策を実
施するだけではなく、地域の実情にあったき
め細かい施策の展開が必要です。
 私は、そうした施策の発信源は県民の活動
の中にあるという確信をもって、政策提案を
重ねていきたいと思います。

1ページ 2ページ 3ページ 4ページ 戻る
Copyright (C) Osamu Kobayashi Group 2003. All Rights Reserved.