会報第24号 20年7月2日 発行
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豊島(てしま)・直島訪問記
岡田 耕一
 5月31日、6月1日にかけて、豊島・直島の両島を訪れる機会を得ました。当時、我が国最大級の有害産業廃棄物不法投棄事件といわれ、連日テレビでの報道も盛んであった豊島事件ですが、今はそうした報道もほとんどなく、私は、問題は解決されたものと思っていました。しかし、当時の不法投棄現場を訪れ、地元の廃棄物対策豊島住民会議の皆さんからお話を伺いますと、まだまだ問題は山積していることを初めて知りました。以下経緯も含め、ご報告します。


豊島 処分地全景   右端に見えるのが中間保管・梱包施設

不適切な許可と県行政の怠慢

 まず、この事件の経緯を簡単に紹介します。昭和50年12月に豊島総合観光開発(株)から香川県に対して、有害な産業廃棄物等を取り扱う産業廃棄物処理業の許可の申し出がありましたが、住民の反対は強く、廃棄物処理場設置に反対する陳情、産業廃棄物処理場建設差止請求訴訟を提起するなどの対抗措置をとりました。
しかし、昭和52年9月、豊島開発から、食品汚泥、動物のふん尿等を収集・運搬し、ミミズによる土壌改良剤化を行うという事業内容変更の申し出があり、県は、昭和53年2月、同社に対して産業廃棄物処理業の許可を与えてしまいました。
 ところが、豊島開発は、その後、金属くず商の許可を受け、昭和50年代後半から平成2年にかけて、シュレッダーダストや汚泥等を収集し、同社が管理する事業場に大量に搬入し、野焼きを続けるようになりました。この間、県は立入検査を行いましたが、廃棄物の認定を誤り、豊島開発に対する適切な指導監督を怠っていました。

有罪判決と倒産

 平成2年11月、兵庫県警察が、廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反の容疑で強制捜査を行い、豊島開発と経営者は、平成3年7月、神戸地方裁判所姫路支部で、豊島開発が罰金50万円、経営者が懲役10月(執行猶予5年)の判決を受けました。
 香川県は、兵庫県警察の摘発後、処分地の立入調査や周辺地先海域の実態調査を行うとともに、平成2年12月、豊島開発に対して産廃処理業の許可を取消し、産廃撤去等の措置命令を行いましたが、豊島開発は事実上倒産し、大量の産業廃棄物が豊島に残されました。

住民による公害調停申請

 平成5年11月11日、豊島住民が、香川県、県職員2名、豊島開発、経営者、その親族及び産業廃棄物排出事業者21社を相手として、@共同して一切の産業廃棄物を撤去すること、A申請人各自に対し連帯して金50万円を支払うことを求め、公害紛争処理法に基づく調停申請を行いました。また、平成8年10月、申請人の一部は国に対して、産業廃棄物等の撤去を求める公害調停の申請をしました。

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