会報第24号 20年7月2日 発行
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下山地区・トヨタのテストコース予定地を歩く
〜そこは自然の宝庫だった…〜
 トヨタ自動車のテストコースが、豊田市と岡崎市の境(下山地区周辺)に建設される計画があるときいて、当初は「山だから地権者が多すぎて買収が難航するだろう」という程度の認識でした。しかし、市民の会のメンバーが「これは大規模開発であり、環境破壊につながりかねないのでは?」と危機感を示し、別にトヨタ自動車が相手だからというわけではありませんが、やっぱりこのまま黙ってみていてはよくない、と思うようになりました。そのような中、「21世紀の巨大開発を考える会」という市民団体が、テストコース予定地の実情を伝えていく活動を行っているとの情報が入りました。とにかく現地を見なければわからないということで、「21世紀の巨大開発を考える会」会長である織田重己さんに案内役をお願いし、市民の会のメンバーで現地調査を行なうこととしました。

 5月18日の日曜日、下山のAコープ駐車場にて、織田さんと待ち合わせ。すると、見たことがある人達が・・・前回の豊田市長選挙に立候補した本多こうじさん達一行でした。本多さんグループも奇遇にも?!このトヨタのテストコース計画予定地の調査に来たとのことでした。
 さて、織田さんの運転する車に乗せてもらい、いざ出発。狭いが舗装された山道を進んでいきます。私は、山奥の鬱蒼とした木々の間を分け入って行くのかと思っていたのですが、到着したところは水田が広がるのどかな風景でした。人の手が入っているいわゆる里山です。田を囲む森からは様々な鳥の啼き声が。織田さんは空を飛び交う鳥を指差しては「あれはサシバ」「あれは・・・(いろいろあって覚えられなかった(!))」、そして忙しく望遠鏡で鳥たちを追います。私たちも望遠鏡で木のてっぺんにとまっている野鳥を見せてもらいました。また、耳をすませて鳥の啼き声を聞き分けるということも教えてもらいました。
 サシバとはタカの一種の希少生物で、ヘビやカエルなどをエサにします。ヘビやカエルは水田に生息するので、テストコースとして開発されると、水田がつぶされてしまい、エサとなるヘビやカエルが少なくなってしまいます。私はNHKの番組で見たのですが、人の手の入らない森よりも、適度に人の手の入っているところのほうが、生物にとってエサが見つけ易いそうです。水田もそういった意味で、エサとなる生き物が見つけ易いのでしょう。織田さんも、「山よりも水田を残すべきだ」と強調していました。
 私は現地を歩いてみて、山の木を切ったら緑が減るからよくない、と単純に考えていましたが(もちろん、地球温暖化対策からすれば、緑の保全も大事なことです)、それだけではない、ということに気がつきました。サシバが生きていくには、それのエサとなる生物が生きることができる環境でなければなりません。小学校か中学校で習った食物連鎖という言葉があざやかによみがえってきました。いろんな生物が存在できる環境、その恩恵を私たち人間も(当然生物ですから)受けているのだという実感がわきました。

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