会報第24号 20年7月2日 発行
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調停成立と謝罪

 処分地周辺の環境保全や問題の早期解決を図る観点から、溶融等の中間処理を行うことを基本として取り組むことを表明し、県の責任、専門家による検討の実施、土地の使用料などの問題について調整が進められ、平成9年7月18日、中間合意が成立しました。
 中間合意の後、排出事業者に応分の負担を求める調停作業が進められる一方、申請人らと県との間では、排出事業者からの解決金の配分や処分地における地上権の設定、県の謝罪などの問題について、協議が重ねられ、平成12年5月に調停委員会から最終的な調停条項案が示され、県は、技術検討委員会により廃棄物等の溶融処理に関する技術的課題の解明がなされ、また直島処理案の受入れ表明により廃棄物等の処理の見通しが立った状況などを踏まえ、総合的な判断のもとに、調停を受け入れることとした。
 そして、臨時県議会に調停成立に必要な議案を提出し、可決され、同年6月6日、豊島で開催された第37回調停期日において、調停が成立しました。調停成立後、真鍋武紀知事は、直接豊島住民に対して、香川県は廃棄物の認定を誤り、豊島開発に対する適切な指導監督を怠った結果、豊島の処分地に土壌汚染、水質汚濁等深刻な事態を招き、豊島住民の方々に長期にわたり不安と苦痛を与えたことを認め、心からの謝罪の意を表しました。

産廃の処理計画

 処理の方式、方法としては、豊島住民の現地での処理施設建設反対の意向や三菱マテリアル(株)の事業撤退を危惧した隣の直島町の意向を受け、ロータリーキルン炉(24t/日×1基)と回転式表面溶融炉(100t/日×2基)を有する中間処理施設を直島町の三菱マテリアル(株)直島製錬所敷地内に建設し、豊島には中間保管・梱包施設と高度排水処理施設を建設し、現在稼働中です。

住民の不安

 現在、豊島の皆さんの不安は、計画量に対して5年弱の処理実績で15%程度、遅れていること。また、処理計画で想定されていた廃棄物・汚染土壌の総量は59.2万tでしたが、公害調停で特定された総量は67.5万tであり、実際の遅れが15%を遙かに超えるということです。なぜ、これが問題なのかというと、10年と期限を定めた処理が遅れるということだけではなく、豊島の処理事業は10年の時限立法である産廃特別措置法の適用事業で実施されており、国の補助金が50%出ています。このペースで処理が進められたら10年以内に終了しない可能性が高いと言います。そうなると県だけでは財政的に処理が進められず、全面撤去の事業を断念する可能性もあると言います。豊島住民の皆さんは「完全撤去以外に道はない。それはエゴではなく次の世代のためである」と強く訴えておられました。

豊島事件から私たちの責任も考える

この問題は事業者の違法性はもちろん、「事業者が怖かった」として、適切な対応をしてこなかった県も悪いことは言うまでもありません。しかし、この地に不法投棄されたごみのほとんどが、自動車から排出されたシュレッダーダストということを知ると豊田市民としても責任を感じないわけにはいきません。本市はトヨタ自動車をはじめ、自動車(部品も含め)の生産・販売によって多額の税収を得ています。また、多くの市民も関係する企業から給料を得ています。しかしながら、当時はユーザーも自動車リサイクルの費用負担もありませんでしたし、廃車後の行方まで関心がなかったのではないでしょうか。また、現在でも個人も企業も含め、処理費用は安ければ安いほどいい。自分の手から離れればそれ以降は知らない。そのような風潮も感じます。安く引き受けた事業者が 本当に適正に処理できるでしょうか。こうしたことも十分考え、モノの処分時はもちろん、購入時にも処理するときのことも考えたいと改めて思った訪問でした。

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