会報第25号 2009.11.11 発行
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本当に必要? 設楽ダム?

〜 水没予定地を訪れ、環境問題を考える 〜

ダム建設予定地は豊かな自然の宝庫

 現在、奥三河の豊川上流部に位置する設楽町で、国と愛知県が総貯水量約1億?もの巨大ダム(設楽ダム)の建設を進めています。さる4月下旬、私たちとよた市民の会事務局のメンバー数名は、設楽ダム建設に反対している「設楽ダムの建設中止を求める会」の呼びかけに応じ、立木トラスト運動の現地視察に参加しました。実際にダム建設予定地を歩いてみると、山の木々や小川の清流に心が癒され、本当に自然が豊かな地域であることが実感できます。豊川支流の寒狭川はアマゴやアユ釣りで知られ、ネコギギなど絶滅危惧種を含む多くの野生生物が生息しています。ダムができればこの豊かな自然が破壊され、その影響は下流の三河湾にまで及ぶことが懸念されています。

過大な水需要予測・・・やはり見直しが必要

 設楽ダムの建設計画は高度経済成長期の昭和48年に発表されました。それから36年余りが過ぎ、社会は低成長時代を迎え大きく変わりました。この10年あまり水道用水の実績値は横ばいで推移し、水を大量に必要とする水田は減反で面積を減少させています。農業用水の大幅な需要増もありえません。反対派が言うように国や愛知県が主張する水需要予測は、人口減少などの社会経済環境の変化を反映していない、実体と乖離した過大なものになっています。これまでに大規模な水源開発を行ってきた豊川に巨額の費用をかけ、これ以上ダム建設を進めるよりも、渇水期には節水や農業用水の取水調整で水不足に対応する方が現実的です。設楽ダムは本体工事に着工していないので、建設計画をストップすることは十分に可能です。国は移転を余儀なくされた関係住民への補償を行い、地元自治体はダム・マネーに拠らない地域振興策を模索すべきだと思うのですが・・・

徳山ダム導水路政権交代で「脱ダム」が実現?

 鳩山新政権は、マニフェストに従い設楽ダムを含む全国各地で建設が行われている(予定されている)ダム工事の中止・見直しを発表しました。群馬県の八ツ場ダムをはじめ不要不急のダム建設を見直すという新政権の方針は、いわゆる環境派の人々から歓迎されているものの、ダム建設を受け入れた関係自治体や住民から激しい反発にあっています。今後、「脱ダム」へむけて紆余曲折が予想されますが、これまでのコンクリートのダムによる利水・治水中心の河川行政の反省から、間伐などによる森林整備で山の保水能力や水源涵養機能を高める「緑のダム」構想は、環境問題への意識の高まりもあって世論の支持を得ていくのではないでしょうか。私は民主党の環境政策に全面的に賛同するわけではありませんが、変化への期待をこめて「脱ダム」の行方にも注目していきたいと思います。 
(文責・とよた市民の会 下島陽一)

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