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おさむ会ニュース 第6号 2001.7.29発行

小泉政権を
どうみるか
改革への期待と国家主義への恐れ 2
前愛知県会議員 小林おさむ
元利支払いを保証させていますので、公共事
業の事業主体の側は、その支払いのためにド
ンドン借金を膨らましています。その借金の
返済は、最終的には税金が充てられますから、
貯金から利息を得ている国民は、後代の税金
を食っているという構造になっています。
 いまこの時期にこの構造を断ち切っておか
ないと、後の世代にますます重荷を負わせる
ことになります。そのための最も簡明な対策
は、郵便貯金も簡保も市場の論理に任せるこ
とです。
 私が、小泉首相の民営化論を全否定できな
い理由はこの一点ですから、もし、貯金や簡
保の使われ方の透明性や合理性を担保できる
他の方策があれば、大いに議論されるべきだ
と思います。逆に、単純な民営化論によって、
利権と癒着している幹部職員は別にして、一
般職員(特に現業労働者)やパー卜職員の身
分保証や、過疎地で唯一の金融機関となって
いる小さな郵便局のあり方などの問題が、粗
略に切り捨てられてはなりません。

道路特定財源の−般財源化
 私は市会議員に初当選当時(1975年)から、
道路特定財源という税金の存在に疑問をもっ
ていました。それは、一昨年文化勲章を受賞
した宇沢弘文氏の「自動車の社会的費用」と
いう論文(1974年6月刊)に感銘を受けた
からです。宇沢氏は、自動車が出す公害がど
れほどの社会的費用を必要とするかを基本に
精緻な議論をしていますが、私が、最も感銘
を受けたのは、「鉄道会社は、車両も線路も
基本的には自前で経営しているが、自動車メ
ーカーは、車だけをドンドン製造して、それ
が走る道路は行政任せ。自動車メーカーが道
路も自前で造ってこそ、はじめて鉄道会社と
の公平な輸送競争になるのではないか」とい
う問題提起でした。
 わが国の道路行政は、欧米に追いつけ、追
い越せの発想で、1954年に立てられた道路
整備5ヶ年計画に端を発しています。この計
画は逐次改定され、現在では第12次5ヶ年
計画になっています。この5ヶ年計画の遂行
のために設けられたのが、道路特定財源なる
ものです。
 私は、ソ連型社会主義のような5ヶ年計画
そのものが、すでに必要性を失ったと考えて
います。[別表]を見れば、わが国がいかに
道路だらけの国土になっているか分かります。

[別表]各国の高速道路の密度比較
  国土面積
千km2(A)
可住面積
千km2(B)
高速道路
延長
千km(C)
国土面積
当たり
高速道路
延長C/A
可住面積
当たり
高速道路
延長C/A
米国 9373 4581 73257 7.8 16.0
旧西ドイツ 249 159 8642 34.7 54.4
イギリス 244 156 3141 12.9 20.1
フランス 547 339 9000 16.5 26.5
日本 378 81 6545 17.3 80.8

五十嵐敬喜・小山明雄著「公共事業をどうするか」P19

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