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おさむ会ニュース 第6号 2001.7.29発行

小泉政権を
どうみるか
改革への期待と国家主義への恐れ 3
前愛知県会議員 小林おさむ
 今後必要なのは、巨額の資金を要する新設
道路ではなく、交差点改良や歩道の整備など
の日常生活に密着した道路整備だけです。
 したがって、私は、道路特定財源の一般財
源化に賛成ですが、小泉首相のように、財政
が窮屈だから他にも使おう、というミミッチ
イ発想ではなく、道路投資のあり方の根本的
な変革と、大胆な環境税の導入に期待してい
るのです。

小泉・国家観への違和感
 以上述べたように、小泉「構造改革」は、
私のかねてからの主張といくつかの接点をも
っていますが、小泉政権のもう一つの特徴で
ある国家観については、違和感を禁じ得ませ
ん。つまり、集団自衛権の容認、靖国神社参
拝、教科書問題への対応などです。
 集団自衛権の問題については、私は議論す
ることはよいことだと思っています。その際、
憲法論に加えて、冷戦後の国防のあり方、日
米安保体制の是非や、アジア全体の安全保障
のあり方などが、あわせて議論されるべきだ
と思います。

いまだ求められる戦争責任の所在
 靖国神社問題について、小泉さんは「お国
のために命を賭けて戦場に行った人々」と、
「行くように命令した人間」との「区別」が
ついていないと思います。こうした区別をし
ようとしない日本人の伝統的な習慣が、あら
ゆることについて責任の所在をあいまいにし
てきました。無駄な公共事業を決定した高級
官僚や首長の責任、膨大な不良債権を抱え込
んだ銀行の頭取の責任、それらと癒着してき
た大蔵官僚の責任などが問われるようになっ
たのは、つい最近のことです。普段は理詰め
で歯切れの良い発言をする小泉さんが、靖国
参拝の問題になると、「お宮参りがなぜ悪い」
と、極めで情緒的な口調になってしまうのが、
理解できないのです。
 最後に、首相公選制について言うと、私は
これまでは、「首相公選制も、政治に民意を
反映させる一つの方法かな」と思っていまし
たが、小泉内閣誕生後の世論の動向を見て、
否定的な見解に変わってきました。
 なぜならば、世論の方向がこれほどいっペ
んに一方向を向いてしまう国柄では、公選制
によって、かえって誤った指導者(小泉さん
のことを言っているのではありません。念の
ために)を選んでしまう危険性を感じるよう
になったからです。加えて、首相公選制は大
統領制への転換ですから、ただ法律を作れば
済むことではなく、憲法の大改正が必要です。
議院内閣制との比較において、慎重の上にも
慎重な議論が必要だと考えます。

民意を反映した構造改革を
 私が小泉首相に望みたいのは、今後、国民
の大方が支持している財政・産業の構造改革
が、自民党の守旧派の抵抗で行き詰まったと
きに、構造改革を棚上げして、変な愛国心や
ナショナリズムに訴えないことです。内政が
行き詰まったとき、外に敵を仕立てて、国民
の自尊心に訴えて支持を得ようとするのは、
為政者の常道です。
 国民の圧倒的期待の中で船出した小泉政権
ですから、たとえ支持率が低下したとしても、
そんな姑息な手段はとらずに、改革で立ち往
生したばあいには、その理由を真撃に国民に
明らかにして、民意を問うてほしいのです。
私は、その准移を、期待を持ちながら、注視
していきます。
(7月10日記)

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